どいかがで昨日、Twitterでこんな記事が流れてきました。
「東大准教授が進学校より高専を勧める深い理由」
「31歳東大准教授が「進学校より高専」を勧める深い理由」
“進学校では大学合格が目的化していて、いわゆる受験数学一辺倒になりますが、高専では、数学は常に実用が前提にあります。同じ三角関数でも、電気交流のモデリングや超電導の設計など、様々な応用例を学ぶことが~”https://t.co/QMdYE5H5QO
— これでも大学職員 (@koredemo) September 23, 2019
実は、高専出身のわたし。
コアな部分は大澤氏の文章を読んでもらうとして、高専出身者だからこそ書ける、高専のお話をしたいと思います。
「うちの子、理系が得意なの。」とか、「出来れば大学は国立に行って欲しい・・・」なんて方に向けて書いてみたいと思います。
Contents
国立高専を進学校より勧める深い理由

国立高専は高校一年生で入学して、卒業するまでに5年間のカリキュラムがあります。
つまり、15歳で入学して20歳で卒業するわけです。
卒業時は短大の資格がもらえるのですが、「もっと上の学校に進学したいよ」という学生は大学に編入することが出来るのです。
推薦による編入なので、学生時代の成績がある一定の条件をクリアしていないといけないわけですが、目安としてクラスで5番以内(厳しめに書いています)に入っていれば国立大学に編入することは可能でしょう。
また、最近では高専でも専攻科が設立され、一定の成績をおさめた学生は申請することで学士をもらえます。
専攻科は5年間の高専教育の上にたって、さらに2年間のより高度な技術教育を行うことを目的として、1992年に初めて設置されました。
専攻科の設置により、技術開発力、問題解決能力を備え、広く産業の発展に寄与できる高度で幅広い知識を持った技術者が誕生しています。
専攻科の課程を修了し、大学評価・学位授与機構の定めた条件を満たした者は、同機構に申請して学士の学位を得ることができます。学士を得れば、大学の学部卒業生と同じ扱いとなり、大学院に進学できます。
専攻科では、すでに企業で活躍している社会人技術者も受け入れています。これにより、企業との共同研究も可能となります。(出典:国立高等専門学校機構より)
国立大学に推薦で編入出来る

わたしが在籍していた頃はまだ専攻科が出来ていなかったのですが、当時バブルが崩壊してゼネコンやコンサルからの求人が激減したこともあり(でも就職率は100%!)、クラスで10人近く国立大学に進学しました。
1つ上の先輩は、なんと東京大学を受験していましたよ。さすがに東京大学は推薦での編入ではなく、ちゃんと試験がありました。
それでも、センター試験を受験せずに編入の試験だけを受ければいいのです。
これって、すごいことですよね?
わたしは、高専に入って初めて知りとても驚きました。
高専の先生方も「実は高専っておいしいんだぞ。」と言っていましたからね。
知る人ぞ知る情報です。
もし、お子さんが「理系に進学したい」とか「ものつくりが好き」とか「ロボコン出たい!」など明確な目標があれば、迷わず高専を勧めます。
そして、高専には本当に天才(時に変人ともいう)がたくさん在籍していました。高校一年生の時にロボットを作って廊下を走らせていた同級生もいました。
「ロボットって企業じゃなくてもこんな小さな部室で作れるんだ・・・」と15歳のわたしはかなり衝撃を受けました。
分野によっては権威ある教授もいる!
あとは、5年の卒業研究ですね。大学の論文と同じ位置づけなのですが、学校によっては権威のある先生が在籍されている場合もあります。
そんな先生の卒研を取ったらめちゃくちゃラッキー!
本当に濃い実験が出来て、場合によっては企業と一緒に研究することもあります。
実は、わたしの卒研は衛生工学の分野を取り組んだのですが、研究テーマが時事問題を反映していたものだったので目覚ましテレビに取り上げてもらいました。
そんなラッキーなことも、時々起こります。
女子の場合・・・モテる?
ちょっと横道に反れますが、クラス50人のうち女子が5人しかいなければそれはもう・・・と言いたいのですが、モテる女子はモテて、モテない女子はモテません!
ただ、男子ともめちゃくちゃ濃い同志になりました。5年生の実験の時は、学科によっては24時間の実験もあります。
いまだに当時同じ実験をしていたクラスメイトとは繋がっています。
また、高専は15歳から20歳(場合によっては20歳以上も)が在籍しています。と、言うことは成人している先輩もいるわけです。
18歳で免許を取って車で学校に通学している先輩も普通にいます。(※)
15歳の少女にとっては見るもの全てが衝撃でした。
4年生、5年生はもう神様みたいな存在にでしたが、それはそれは優しくしてもらいました。
(※ わたしが通っていたのは地方のド田舎にある高専だったので車通学が出来ていたのかもしれません。都会の高専の人に聞いたら車で通学は禁止されていました。地域性ですかね・・・)
国立高専の学費について

国立高専の学費は、国立大学や私立大学に比べると格段に安いです。
入学料:84,600円
※入学料免除制度あり授業料:年234,600円(前後期にわけて2分の1ずつ納入)
※授業料免除制度・高等学校等就学支援制度あり
教科書代:約38,000円(学科により異なります)教材費:約40,000円(体操服・水着等も含みます)
研修旅行積立金:年32,000円(前後期にわけて2分の1ずつ納入)
学生会費:年6,000円(前後期にわけて2分の1ずつ納入)
Total:約435,200円
(出典:舞鶴高専のHPより)
いかがでしょう?
同じクラスにご両親が離婚してしまったクラスメイトがいましたが、彼女は授業料免除を受けていて(成績が良くないと免除は受けられません)年間の学費は0(ゼロ)円でした。
しかも、その申請はそこまで敷居が高くありません。
ご家庭の事情で経済状況が厳しいというかたは、返済義務のある奨学金よりも授業料免除は大変ありがたい制度といえます。
これも高専に入学してみないと分からないことでした。
高専の偏差値は?
年度や学校によって変わってくると思いますが最新版を、こちら(COCOIROさん)より引用させてもらいました。一部をご紹介します。
- 明石工業高等専門学校 機械工学科 偏差値69点
- 久留米工業高等専門学校 機械工学科 偏差値68点
- 徳山工業高等専門学校 機械電気工学科 偏差値68点
- 大分工業高等専門学校 機械工学科 偏差値68点
- 群馬工業高等専門学校 環境都市工学科 偏差値67点
です。環境都市工学科、というのは前身は「土木工学科」です。全国の高専で一斉に名前を変え始め、わたしたちの時はクラスで5名しかいなかった女子が、名前を変えた今ではクラスの半分が女子の割合だそうです。
名前の影響ってすごいですね。。。
中学受験を無理にしなくても、中学で3年間じっくり腰を据えて勉強にとりくんで、高専に進学すれば、高専を卒業する時に推薦で国立大学に行ける・・・
実際、長女の友人(女子)がそうなっています。
彼女はお父様が徳山高専の機械工学科ご出身。そしてたまたまわたしも高専出身ということで、家族ぐるみでお付き合いをしていました。
彼女は話を聞くうちに高専に魅了され、なんと東京工業高等専門学校に入学されました。
恐らく大学も推薦でどこかの国立大学に進学するでしょう。
父と娘の物語
その後のエピソードがあるのですが、彼女が入学して購入した教科書やテキストが、そっくりそのまま父親の使っていたものと同じだったのです。
彼女は迷うことなく、父親のお古の教科書を使うようになったそうです。
理由を聞いてみると「お父さんの教科書には大事なところに印がしてあってわかりやすいから。」とのこと。
まさか、30年後、自分の娘が自分のテキストを使うことが来るなんて夢にも思っていなかったことだと思います。
素敵な物語ですよね。
まとめ

国立高専のことを知らない方もまだまだたくさんいらっしゃいます。
理系であることは間違いないのですが、ガチガチの文系出身のわたしもちゃんと卒業し、卒業時には「近藤賞」なる栄えある賞も戴きました。
理系はとにかく数学や物理があって困難を極めますが、文系女子でも乗り越えることができるんです。
それには少しだけコツがあります。知りたいですか?
それは…
「教授を捕まえて、聞いて、聞いて、聞きまくること。そして理解出来たら、腹落ちするまで解きまくること。」です。
元々苦手な科目であればなおさら、努力に勝る得策はないんです、はい。
でも、先生方は良い意味でマニアックなので、とても濃く深く教えて下さいます。
あんな先生たち、高専にはまだいるんだろうな。サラリーマン思考じゃない先生たち。
こちらの記事も読まれています↓
